住宅ローンを借りたら、いずれ一括返済をしたいと考えているあなた!ちょっと待ってください!
住宅ローンは返済期間が長いほど利息が増えるため、一括返済すれば利息を減らせますが、安易に検討するとデメリットやリスクがあり注意が必要です。
一括返済をすると、住宅ローン控除の適用がなくなったり、急な出費に対応できなくなったりとデメリットが多く、生活に支障がでる可能性があります。
住宅ローンを一括返済するメリットやデメリットを知り、無理なく返済できるよう計画していきましょう。
計画的にローンを返済できれば、金銭的なストレスや負担のない余裕のある生活が送れるようになりますよ。
一括返済のおすすめのタイミングや手続き方法、注意点もお伝えしますので、参考にしてくださいね。
住宅ローンの一括返済にはデメリットがあるため要検討
これから家を建てる予定の場合や、すでにマイホームをゲットしてローンを支払い中のあなた!ローンを一括返済して利息を減らしたいと考えていませんか?
住宅ローンは返済期間が長引くほど利息が増える仕組みですので、一括返済すれば利息を減らせます。
ですが安易に住宅ローンを一括返済すると、手数料が発生したり、住宅ローン控除が適用されなくなったりするなど、逆に損をする可能性があります。
上記のデメリットやリスクは、今後の生活に支障が出る場合もありますので、事前に住宅ローンの一括返済について知っておきましょう。
返済手数料や住宅ローン控除適用外で損する場合あり
あなたがどの金融機関で住宅ローンを組むかによりますが、一括返済時に手数料がかかることがあります。
一括返済によって軽減できる利息よりも手数料が高額になり損をする場合がありますので、軽減できる利息と手数料の比較が必要です。
一括返済手数料は都市銀行では33,000円くらいの設定が多いです。
また、住宅ローン控除を受けている場合、年末時点で住宅ローン残高がないと以後の年度は適用されなくなります。
もしあなたが13年の住宅ローン控除を受けている場合、住宅購入後13年以内に一括返済すると次の年度からは住宅ローン控除が利用できなくなるデメリットがあります。
一括返済をしない場合の控除額と、一括返済した場合に軽減される利息を慎重に比較してみてくださいね。
生命保険の加入や贈与税の発生の可能性をよく考える
団信と呼ばれる団体信用生命保険をご存じですか?
団体信用生命保険とは住宅ローンの返済中に万が一があった場合に、保険金によって住宅ローンの残額を返済できる保険契約のことで、住宅ローンの多くは団信への加入が必須条件となっています。
住宅ローンを一括返済すると、団体信用生命保険の契約も終了となりますので、もしが万が一に備えて生命保険に入ったおきたいのであれば、新しく別の生命保険に加入する必要があります。
もし住宅ローンを早く終わらせるために、親や親族からお金を受け取り一括返済をしようと考えているなら要注意です。
親から受け取った金額が年間110万円を超えると贈与税が発生してしまうため、お金をもらうのではなく借りる形にして回避が必要ですよ。
贈与を疑われないよう借用書を作成しておくと後でトラブルになりませんね。
手元の資金が減り急な出費に対応できなくなるため注意
一括返済すると手元の資金が大きく減ってしまいますので、毎月の生活費はもちろん急な出費に対応できなくなる可能性があり注意が必要です。
病気やけが、災害など、万が一の備えが手薄になってしまい、そのお金の工面に別のローンを借りたり貯金を切り崩すことになったりしないようにしましょう。
一括返済をしても生活に支障が出ないように、家族構成や収入などを総合的に判断してある程度資金を残しておくと安心です。
生活費の1年分程度を確保しておくと良いと思います!
いろいろデメリットをお伝えしましたが、一括返済してこのデメリットを上回る効果があるのか悩んでいるあなたにはっきり言うと、現在の超低金利時代においては効果が低いでしょう。
金利が低いぶん一括返済によって削減できる利息額も低くなっているため、無理に一括返済をするべきではありません。
まずは一括返済を考えていることを借入している銀行に相談し、一番いい方法で住宅ローンを返済していきましょう。
住宅ローンを一括返済するメリットは利息が減ること
住宅ローンは必ず契約時の借入期間で返済しなければならないわけではなく、途中で残債をまとめて一度に返済し、ローンを完済する一括返済も可能です。
一括返済する一番のメリットは以後に発生する利息を払う必要がなくなるため、利息を減らせ、支払総額が抑えられる点です。
契約当初の返済計画と比べて総返済額が減るのはうれしいですし、保証金の一部返金もありがたいメリットですね。
各メリットを詳しく解説しますので、相続でまとまった資金が手に入ったり手元の資金に余裕があったりするなら、一括返済を検討してみてくださいね。
最大のメリットは返済期間が短いほどローン総額が減る
住宅ローンを一括返済すると、それ以降に支払う予定だった利息を支払う必要がなくなるため、返済するローン総額が減るのが最大のメリットです。
一括返済をすれば以降の住宅ローンの返済はなくなりますので、家庭の資金計画からローン返済分がなくなり、気持ちに余裕が生まれますね。
多額のお金を借りているのはストレスです。
ですが、先に解説した住宅ローン控除との兼ね合いもあり、一括返済しないほうがいい場合もありますので、一括返済するべきかは慎重に判断してくださいね。
金融機関によって保証料が返金される場合がある
住宅ローン契約時に保証会社の保証をつけ、その保証金を一括支払いしている場合、一部の保証料が返金される可能性があります。
戻し保証料と呼ばれています。
予定していた返済期間を短縮して返済するため保証金を戻してもらえる制度で、一括返済の時期が早いほど戻し保証料の額も大きくなります。
金融機関によって手数料や返還率が異なりますので、いくら戻ってくるのか知りたい場合は契約の金融機関に問い合わせてくださいね。
住宅ローンを一括返済するタイミングを見極めよう!
無理をして住宅ローンを一括返済すると、その後の生活が窮屈になってしまうため、できるタイミングがあれば一括返済するという程度の考え方で構いません。
家庭の事情や手元に残せる資金額によって変わってきますが、あなたにとって最適な一括返済のタイミングを見極めましょう。
一般的には次のようなタイミングが一括返済に適していますので、参考にしてください。
上記3つのうち相続以外はいつぐらいの時期になるか予想できますので、一括返済用の資金を積み立てるなど計画的に用意ができますね。
住宅ローン控除の適用期間終了後に一括返済がおすすめ
私がおすすめする一括返済のタイミングは、10年または13年の住宅ローン控除が終了したタイミングです。
住宅ローン控除は所得税の負担を減らせるなどメリットが大きいため、できれば最大年数利用したいですね。
もし住宅ローン控除適用中でも返済したい場合は、控除額は年末のローン残高で決まりますので、年明けの1月に一括返済するのがおすすめですよ。
相続や退職金などでまとまったお金が入ってきたときも一括返済するのに適していますので、老後資金との兼ね合いを考慮して検討してください。
老後資金は確保してから一括返済します!
子どもが独立し、教育費などの養育費の支出が減ったタイミングも一括返済に適しており、今まで支払っていた養育費を住宅ローンの返済資金にあてられます。
未成年の子どもがいる場合は貯蓄を教育費に優先的に回し、住宅ローンを一括返済するのは避けましょう。
デメリットやリスクにしっかり対策しながら住宅ローンを一括返済して、ローンのない生活を目指すのもいいですね。
返済のタイミングを利息を比較してシミュレーション
一括返済するタイミングは人それぞれですが、いつの時期に返済するのがいいのか気になるなら一度、利息をシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションして、実際に一括返済する時期によって利息がどれだけ変わるのか比較します。
上記の試算条件で、借り入れしてから5年後、10年後、20年後に一括返済する場合の比較表になります。
一括返済の時期 | 5年後 | 10年後 | 20年後 |
---|---|---|---|
利息分 | 2,342,917円 | 4,402,111円 | 7,569,685円 |
住宅ローン控除 | 981,429円 | 1,841,409円 | 2,294,798円 |
総支払額 | 31,361,488円 | 32,560,702円 | 35,274,887円 |
一括返済の時期が遅くなるほど住宅ローン控除額が大きくなりますが、利息を比較すると5年後に一括返済するのが1番少なくなります。
早めに一括返済すると総支払額が減りますので、トータルの支出を抑えられるという結果となりました。
住宅ローンの借入金額によっては控除額が利息支払い分を上回るケースもあり、その場合は住宅ローン控除の期限が終わるまで利用するほうがパフォーマンスが高くなります。
住宅ローン控除を利用する場合、初年度の確定申告が必要ですので注意してください。
この比較表はあくまでシミュレーション例による目安で、実際の金額とは異なる場合がありますので、具体的な金額が気になる場合は金融機関に相談してくださいね。
住宅ローンを一括返済するための必要書類と手続き方法
一括返済の方法は金融機関によって異なり、インターネットで手続きが完了する銀行もあれば、事前に繰上返済依頼書をもらっておかなければいけない銀行もあります。
一括返済を決めたら、返済予定日の1ヶ月前までに契約者本人から契約している金融機関に電話もしくはインターネット窓口から一括返済希望の連絡をしてください。
その後金融機関から手続きのための書類が郵送されますので、必要事項を記入し返送後、支払いを済ませれば一括返済完了となります。
手続きの詳しい流れと、必要書類をお伝えしますので手続き前に確認してくださいね。
返済予定日の1ヶ月前までに契約者が金融機関に連絡要
実際一括返済するときは、返済予定日の1ヶ月前までに契約者本人から金融機関に一括返済する旨を連絡し、送られてくる書類に必要事項を記入して期限までに返送が必要です。
住宅ローン完済後は抵当権抹消手続きが必要になりますので忘れず手続きし、団体信用生命保険の契約が終わりますので必要があれば生命保険に加入してください。
- 手続き1契約している金融機関に連絡
電話またはインターネットの窓口から連絡する
- 手続き2金融機関から送られてきた書類を返送する
必要事項は契約者本人が記入する
- 手続き3金融機関に支払いする
指定口座に入金または直接金融機関の窓口で支払いする
- 手続き4抵当権抹消登記を行う
所轄の法務局で手続きを行う
- 手続き5必要に応じて生命保険に加入する
一括返済の手続き方法によっては手数料が発生しますし、住宅ローンの残額によって手数料が異なる場合もありますので、あなたが一括返済を検討するタイミングで金融機関に確認してくださいね。
スムーズに手続きするため必要な書類は事前に準備する
住宅ローンを一括返済する際には、住宅ローン返済口座の通帳や印鑑のほか、本人確認書類が必要になりますので、事前に準備しておくとスムーズです。
インターネットのみで手続きできる銀行もありますが、一括返済するための繰上返済依頼書が必要な銀行もありますので金融機関に確認してくださいね。
また、住宅ローンの完済後、銀行から抵当権抹消手続きに使用する必要書類が届きますので、紛失しないよう保管しておきましょう。
委任状の日付が空欄の場合、ローンを完済した日を記入してください!
抵当権抹消手続きに必要な書類は全部で5種類ありますが、あなたが自分で作成しなければいけない書類は抵当権抹消登記申請書の1種類のみになります。
抵当権抹消登記はローン完済後自分で手続きが必要!
住宅ローンを一括返済したあとに抵当権の抹消手続きをする必要があり、手続きをしていないと登記簿上ではローン未完済として扱われます。
借り入れ時は金融機関が手続きしますが、抹消登記は自分で手続きが必要です!
抵当権とは、住宅ローンを契約した人が返済できなくなった場合に、住宅ローンの融資元である金融機関によって行使される権利です。
抵当権があれば金融機関は債務者による住宅ローンの返済が止まった際に、物件を差し押さえ、競売にかけることで貸付金を回収できるようになります。
抵当権抹消手続きを忘れて、ローンを完済した住宅が担保になってしまいました…。
別のローンを滞納したときに差し押さえされたり、新規のローン契約が通りづらかったりする可能性がありますので必ず手続きしてくださいね。
抵当権抹消手続きはあなた自身で行ってもいいですし、司法書士に依頼すれば必要書類を郵送するだけで手続きが完了します。
- 手続き1金融機関から届く必要書類をまとめる
- 手続き2抵当権抹消登記申請書を作成する
- 手続き3管轄の法務局に行き書類を提出する
- 手続き4法務局から抵当権抹消登記の完了書類を受け取る
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、1物件につき1,000円ほどかかり、戸建て住宅の場合は建物と土地で2件となり2,000円ほどかかります。
司法書士への依頼料は平均1~2万円程度になりますので、費用を節約したいあなたは法務局の相談窓口で教えてもらいながら自分で手続きするのがおすすめです。
現在はオンラインで抵当権抹消手続きの申請が可能になっていますので、自宅からでも手続きでき便利ですよ。
住宅ローンの一括返済が負担なら一部繰上返済を活用!
住宅ローンの一括返済は、総返済額を減らすことができ、あなたのストレスや負担を軽減してくれる魅力的な手段です。
ですが、まとまった資金が必要ですし、住宅ローン控除期間中など一括返済が得策ではない場合もあります。
住宅ローンの返済を早く終わらせる方法として、繰上返済や借り換えを行うのも一つの手段です。
繰上返済や借り換えがどういった制度なのか紹介しますので、毎月の返済を負担に思っている場合は検討してみてください。
一部繰上返済をしてローン残高や利息の負担を減らす
住宅ローンの返済負担を少しずつでも軽くしたい場合は、一部繰上返済を検討してください。
借入金の一部だけを繰上返済する方法で、ローン残高が早く減り、利息や返済期間も減らせられますが、手数料がかかる金融機関もあるため注意が必要です。
一部繰上返済には2種類あり、それぞれメリットが違いますので紹介します。
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
---|---|---|
特徴 | ・住宅ローンの返済期間を短縮する | ・毎月のローン返済額を減らす |
効果 | ・利息の軽減効果が高い ・総返済額を減らすことが可能 | ・利息の軽減効果は低い ・毎月の出費を減らすことが可能 |
期間短縮型の繰上返済は、毎月の返済負担額は変わりませんが、返済期間が短くなり完済時期を早められます。
返済額軽減型は返済期間はそのままですが、毎月の返済額が少なくなるため、直接的に家計を改善しやすくなりますよ。
返済額軽減型に変更して余ったお金を子供の教育費に回す予定です。
住宅ローンの契約内容によってはどちらの方法を選んでも大きな差がない場合もありますので、繰上返済シミュレーションをして検討しましょう。
利息軽減のため今より金利の低いローンに借り換えする
現在の住宅ローンと比べて金利の低い住宅ローンに借り換えると、利息を軽減する可能性がありますので一度検討するのもおすすめです。
ただし、現在のローンを完済する際の手数料と、新しくローンを契約する際の諸経費が利息より多くなってしまうと借り換えにより損をしてしまいます。
借り換えシミュレーションして費用と利息を比較してから借り換えを実施してくださいね。
また、あなたが変動金利の金利上昇リスクが不安なのであれば、全期間固定金利への借り換えも可能です。
全期間固定金利は金利の変動がないため毎月の返済額は一定です。
ただし、一般的には全期間固定金利の利率は変動金利タイプよりも高めに設定されていますので、必ず借り換え前後での返済負担の差を確認してください。
まとめ
- 安易に住宅ローンを一括返済すると、手数料が発生したり、住宅ローン控除が適用されなくなったりするなど逆に損をするデメリット多数
- 借り入れ時に加入する団体信用生命保険は住宅ローン完済時に契約終了となるため、新しく別の生命保険に加入する必要がある
- 一括返済すると手元の資金が大きく減るデメリットがあり、毎月の生活費はもちろん急な出費に対応できなくなる可能性があるため注意する
- 最大のメリットは、それ以降に支払う予定だった利息を支払う必要がなくなるため、返済するローン総額が減ること
- 住宅ローン契約時に保証会社と一括支払いで契約した場合、一括返済時に一部の保証料が返金される可能性がある
- 家庭の事情や手元に残せる資金額によって変わってくるが、10年または13年の住宅ローン控除が終了したタイミングに一括返済するのがおすすめ
- 一括返済するときは、返済予定日の1ヶ月前までに契約者本人から金融機関に一括返済する旨を連絡し、送られてくる書類に必要事項を記入して期限までに返送が必要
- 住宅ローンを一括返済する際には、住宅ローン返済口座の通帳や印鑑のほか、本人確認書類が必要になるため、事前に準備しておくとスムーズ
- 住宅ローンを一括返済したあとに抵当権の抹消手続きをする必要があり、手続きをしていないと登記簿上ではローン未完済として扱われるため忘れないようにする
- 一括返済以外の方法として、一部繰上返済や金利の低い住宅ローンへの借り換えを行うとローンの返済を早く終わらせられる
住宅ローンの一括返済には少なからずデメリットがありますので、事前に比較し、損しないように最適なタイミングを見極めていきましょう。
住宅ローンの返済負担を軽くしたいなら一部繰上返済や借り換えなども検討し、一括返済にこだわらず不測の事態にも対応できるようしていきたいですね。
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